横道世之介3部作の最後、「永遠と横道世之介」を読み終わりました。上下2巻。合わせて700頁に及ぶ長編です。第1作では大学1年生の一年間を、第2作では就職に失敗してバイトで過ごす24歳の1年間を、今作ではまがりなりにもプロのカメラマンとなった39歳の世之介が描かれています。お調子者で誰からも好かれる世之介。唯一、女性からはもてません。今作では、30歳でお付き合いした薄幸の女性との思い出が頻繁に語られます。世之介が彼女に出会った時、すでに彼女は余命2年の宣告を受けていました。しかし世之介は、彼女に「早く出会えて良かった」と言います。2年遅かったら彼女は亡くなっていたと思うと、2年といえど長い年月なのかもしれません。短い夏の思い出も、クリスマスの思い出も、2回だけ。それでも世之介にとっては最高の彼女なのです。彼...永遠と横道世之介
夜空にひらくいとうみくアリス館ネットで児童文学を探してゐて見つけた本である。読み終はつて、いい本に出合つたと感じてゐる。母に捨てられた少年が主人公。複雑な生ひ立ちが災ひしたのか、心が張り詰めるとつい手が出てしまふ。職場で嫌がらせを受けたことで、その職場の先輩を殴つてしまふ。傷害罪で訴へられて家庭裁判所に送られた。そこでの審判は、試験観察といふ処分になつた。そんな少年を迎へたのが花火制作の工場(正確には煙火店といふらしい)であつた。その家の主人もまた、複雑な経験を持つた人である。長男を無免許でバイクを運転してゐた少年にひき逃げされてゐたのだ。家族でスーパーに買ひ物に来た時に、車から奥さんが長男を下ろして少し目を離してゐた瞬間のことであつた。罪ある少年に息子を殺されたのに、罪ある少年を迎へ入れる試験観察の引き...いとうみく『夜空にひらく』を読む
正露丸はクレオソート、アセンヤク、オウバク、カンゾウ、チンピを主原料とする胃腸薬である。クレオソートはブナ属の木から採取したタールを蒸留した物で、殺菌効果や水分量の調節などの効能がある。他の漢方薬も腸の細菌の動きを鎮めたり、解毒したりする効果がある。 軟便や下痢の時によく飲まれる。それ以外に、歯痛を一時的に止めるために、歯の間に詰めたりする。 ところが、新型コロナウイルスのワクチン後遺症や…
今朝、義母が入所している施設から電話があり、朝食に箸を付けず、表情に精気が無く、血圧を測ったら上が190を超えていたとかで、掛りつけの内科に連れて行ったらその場で大きな病院へ行くよう紹介状を渡され、大病院で検査の結果、入院となりました。一か月程度ということです。今入っている施設は医療行為は行えないので、退院後は特別養護老人ホームに移る必要がありそうですが、果たして空いているか。もし空いていなかったら、同居人は介護離職せざるを得ないでしょう。人は簡単には亡くならないのかなと変なことを感じてしまいました。義母の入院
大人のための公民教科書日本復興の希望を繋ぐために小山常実高木書房今日も本の紹介である。高木書房刊の新著である。著者は、新しい歴史教科書をつくる会の理事をされてゐる小山常実氏である。現代日本には数々のウソ話があると言ふ。その中でも特に問題なのが、次の五つ。1日本は侵略戦争を行い、数々の国際法違反を行った戦争犯罪国家である。2「日本国憲法」は憲法として有効に成立した。3「新皇室典範」は皇室典範として有効に成立した。4日本政府が発行している大量の国債は借金だから日本は財政破綻する。5人間活動により地球温暖化問題が生じている。そして、本来「公民」の教科書は、それらのウソ話を排し、日本人のあるべき姿を示すものである。それが著者の訴へである。全くその通りである。にもかかはらず、それは多くの人々に共有されてゐない。日本...『大人のための公民教科書』を読む
🌜朗読と動く絵本🌛銀河鉄道の夜 7 🌌 僕、こんな愉快な旅はしたことない❢ 🌽 宮沢賢治 🛤 大分県「原尻の滝」⑵・熊本県「菊池渓谷」
だんだん日が長くなってきましたね😊今日の銀河鉄道の夜は、「十二、愉快な旅」です。朗読の前にご案内する、わたしの旅した九州の自然は、前回の「原尻の滝」の続きから、熊本県菊池川の水源にある「菊池渓谷」へ移ります。「菊池渓谷」は、なんと7つの百選、日本森林浴の森百選・日本名水百選・日本の滝百選・水源の森百選・くまもと緑の百景・熊本の自然百選・新くまもと百景に選ばれています。渓流沿いに二つの遊歩道、往復1キロ、約40分の癒しコースと、往復2キロ、約1時間20分の満喫コースがありますが、今回はまず、1キロの癒しコースを歩いてきました。朗読のエンディングにも、渓流の映像を添えています。また、お話中ほどには、福岡で何か所か巡った中でも特に雰囲気のあった那珂川沿い(ネパールの国立公園に行った時のジャングルを思い出しました...🌜朗読と動く絵本🌛銀河鉄道の夜7🌌僕、こんな愉快な旅はしたことない❢🌽宮沢賢治🛤大分県「原尻の滝」⑵・熊本県「菊池渓谷」
6月17日(月)から、私の部署では1名定員削減の憂き目にあうことになりました。私にとっては衝撃的な出来事です。ただでさえ少ない人数でどうにか仕事を回してきたというのに。部下たちの仕事の分担を考えなければなりません。もちろん私の分担も。上層部は私の病歴を当然知っています。寛解に至って15年も経つので、もう負荷を増やしても大丈夫だろうという判断なのでしょうが、そんなに甘いものではありません。じつはもう精神科医から休養すべきだと言われ、診断書も貰っています。とりあえずはこの診断書を常に忍ばせ、様子を見つつ、もうダメだとなったら病気休暇に入ろうと思っています。自分を守るのは自分だけですから。定員削減
日本が闘ったスターリン・ルーズベルトの革命戦争戦争と革命の世界から見た昭和百年史細谷清高木書房版元の高木書房の斎藤信二さんから送られた書籍である。著者は、国際近現代研究家の細谷清氏である。知つて見ると、社会工学者の故目良浩一氏と共に「歴史の真実を求める世界連合会」を設立された方であつた。現代の戦争は、弾薬と戦闘によるものであるよりも前に、歴史観によつて行はれてゐる。現今のウクライナ戦争も、きな臭い台湾へのシナの戦略も、朝鮮半島の南北の対立も、いづれも歴史観闘争が水面下では繰り広げられてゐる。その暗渠は、日米戦争にもつながつてゐる。著者は「なぜ、どの様に、戦争は起きたのだろう」といふことを調べていくうちに、さう確信を得るやうになつた。米国が傍受解読した電報はルーズベルトによつて内容の変更が許可され、スターリ...『日本が闘ったスターリン・ルーズベルトの革命戦争』を推す
図書のささやき 88 図書名:「アメリカとは何か」―自画像と世界観をめぐる相克― 著者名:渡辺 靖 出版年月:2022年8月 出版社:岩波新書1938 著者略歴:1967年札幌市生まれ、上智大卒、ハーバード大大学院修了、慶大SFC教授、オクスフォード-大
展望台に立った。佐渡の山並みが横たわっている。ひんやりとして目が冴える。海面は白いので、雲海のように見える。島の海岸線は靄で包まれ、山腹から上が青く浮かび上がっている。東山魁夷の日本画のようだ。 弥彦山の頂上まで行くことにした。放送局の電波塔の脇を過ぎて、丸太を渡した階段を上っていくと、石の柵に囲まれた山頂に出た。ここは弥彦神社の奥宮に当たる。下方の水田、蛇行した信濃川の流れ、幻のような佐渡…
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