【本】村上春樹『回転木馬のデッドヒート』~人生のエアポケットに現れる奇妙な物語の断片たち~

【本】村上春樹『回転木馬のデッドヒート』~人生のエアポケットに現れる奇妙な物語の断片たち~

1、作品の概要 1985年10月に刊行された村上春樹の全9編からなる短編集。 講談社の文芸PR誌『IN☆POCKET』で隔月で連載された作品と、2編の書き下ろしを加えてた。 2、あらすじ ①はじめに・回転木馬のデッド・ヒート この短編集の前口上的序文。 今作の短編たちは、事実に即した文章であり、それらを小説の容れ物を用いたスケッチである。 ある種の無力感のように春樹の心中にたまっていったおりたち。 回転木馬のデッドヒートのようにどこにも行けない。 ②レーダーボーゼン 妻の友人とひょんことから2人きりになった筆者は、彼女から父親と母親が離婚したきっかけについて語られる。 とても唐突な離婚で、母は…