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消え去りゆく珠玉の言葉があります。 新しく興る清新な言葉があります。 純文学、大衆文学、児童文学、歴史文学etc... 文学と名のつくもの、文学と名のつきそうなもの、あるいは、これも文学と紹介したいもの、何でも構いません。 文字と文学を愛する人々全てのコミュニティとして、何でもお気軽にトラックバックして下さい。
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文学の記事

1件〜50件

  • 短篇小説「机の上の空論城」
    2020/05/27 19:23
    短篇小説「机の上の空論城」

    いよいよ私はたどり着いた。旅の最終目的地である、この大いなる「空論城」へと。 門前から見上げると、「空論城」は四本の太い木の柱に支えられた巨大な板の上に、そう、まるで机の上に建っているように見えた。さすがはかの有名な言葉「机上の空論」の語源となった城である。それは土台となる机の上にその底面を接しているようでありながら、そこからやや浮遊しているような不安定さをも孕んでいた。 思えば長い旅路であった。そのはじまりには、私を呼び出した王様との口論があった。 たしかに世は乱れ、平和などすっかり遠い昔の夢物語のようであった。だが前回の凄惨な大戦からの教訓としてもたらされた非暴力の思想は、なおも崩れてはい…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 「彫心鏤骨」の文体に見るもの(前半)
    2020/05/26 17:49
    「彫心鏤骨」の文体に見るもの(前半)

      『破れた繭・夜と陽炎……耳の物語1・2』開高健(新潮文庫)  この度、岩波文庫に初めて入った開高健の小説がこれだという事を知人から聞き、そういえばむかーし新潮文庫で買ったのがあったはずと書棚をごそご

    analog純文

    近代日本文学史メジャーのマイナー

  • 短篇小説「電動アシスト式告白機」
    2020/05/23 15:19
    短篇小説「電動アシスト式告白機」

    たいした脚力も必要なく坂道をすいすい登れる電動アシスト式自転車に驚いていたのも、今は昔。近ごろではすっかり、何から何まで電動の力を借りるようになった。箸の上げ下げに至るまで、今や電動アシストなしには考えられない。もはや人類そのものが、すでに「電動」であるといっても過言ではないのかもしれない。 電動アシスト式スニーカー、電動アシスト式マフラー、電動アシスト式カツラ、電動アシスト式たて笛、電動アシスト式入れ歯――人間のあらゆる部位に電動アシスト機能は役立っているが、ここへ来て人間の「部位」ではなく「行動」を、いわゆる「もの」ではなく「こと」をアシストする電動システムが発売される段階に至ったのは、進…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 短篇小説「よろずサポートセンター」
    2020/05/20 18:12
    短篇小説「よろずサポートセンター」

    私は何か困ったことがあると、必ず「よろずサポートセンター」に相談することにしている。みんなもそうするといい。電話に出た「よろずサポーター」が、なんでも解決してくれる。本当に最高のサービスがここにある。その手段さえ問わなければ。 仕事から帰ってきて部屋の電球が切れていることに気づいたときも、私は即座に「よろずサポートセンター」に電話をかけた。すると電話に出たよろずサポーターの指示により、三十分もしないうちに一流テレビ局の照明スタッフ数名が駆けつけ、様々な角度から、夜が明けるまで私を激しく照らし続けてくれた。 おかげで私は一睡もできなかったが、初めて俳優のような気分を味わうことができた。替えの電球…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 『嵯峨野明月記』
    2020/05/15 18:46
    『嵯峨野明月記』

    本にもいろいろあって、早く先が読みたくてたまらない本もあれば、逆に読んでしまうのがもったいないものもある。「嵯峨野明月記」は、私にとっては後者に当たる。 舞台は慶長、元和の時代。この小説は独特の形態をもち、本阿弥光悦、俵屋宗達、角倉素庵の3人が、交互にモノローグを述べる形で...

    Minori

    輝く家路

  • 短篇小説「抽選の多い料理店」
    2020/05/15 18:34
    短篇小説「抽選の多い料理店」

    近ごろ、美食家兼ギャンブル好きのあいだで評判のレストランがあるという。その店は、「抽選の多い料理店」と呼ばれている。「抽選の多い料理店」を訪れるには、まず抽選に当たらなければならない。なにしろ「抽選の多い料理店」なのだから、当然の話である。しかしこの入店権を得るまでの道のりも、やはりひと筋縄ではいかない。 この店の噂を耳にした人間は最初、必ずやインターネットの検索窓に「抽選の多い料理店」と入力して店のことを調べる。驚くべきことに、この段階で早くも抽選が行われているとも知らずに。 そこで表示された検索結果一覧に店側の用意した抽選ページが表示される人は、ごく少数に限られている。同じワードを入力した…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 短篇小説「親切な訪問者」
    2020/05/14 13:00
    短篇小説「親切な訪問者」

    とある休日の昼下がり、私は自宅で時間指定の宅配便を待っていた。指定した時刻は十四時~十六時。そしてラジオの時報が十四時を知らせた瞬間、早くも部屋のインターホンが鳴った。 こんなことは珍しい。こういうのはたいがい中途半端な、最も来られては都合の悪いタイミングで来ると相場が決まっている。たとえばちょうど開始時刻から四十分ほど過ぎてトイレに行きたくなり、さらにそこから十五分ほど我慢していま行くべきかまだ待つべきか大いに迷った挙げ句、我慢の限界が来て用を足しはじめたところで鳴ったりするものだ。 排便を途中で切りあげるほど難しいことはない。小ならば残尿感、大ならば残便感さらには拭き残しを抱えたまま玄関に…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 短篇小説「過言禁止法」〈改稿〉
    2020/05/12 01:19
    短篇小説「過言禁止法」〈改稿〉

    SNSの流行により日本語は乱れに乱れた。どう乱れたかといえば端的に言って万事表現がオーバーになった。 短文の中で自己表現をするとなれば、自然と過激な言葉に頼るようになる。さらには、ただ一方的に表現するだけでなく互いのリプライによる相乗効果も働くとなれば、言葉がなおさら過激化するのは必然であった。そこで日本語教育の行く末を憂う文科省が中心となり政府が打ち出した政策が、2020年夏より施行された「過言禁止法」である。 この法律により禁止されるのは、「事実とは異なる過剰な表現」ということになっている。なぜならば政府によれば、「言い過ぎている表現=過言」こそが人心を乱すデマの源泉であると目されているか…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • もうサムライにならなくていい
    2020/05/11 01:47
    もうサムライにならなくていい

    やっぱり丸くなりきれない。坂口安吾ぶらせてください。 日本という「回避性愛着スタイルの集合体」、 その結果としての「自己愛が暴走した無責任社会」に対して 私が感じている違和感の根本だけを、歴史学と社会学を合わせて、 エッセイ風に書きます。 2020年のはちさんた風「堕落論」。 口調がいつもと違うのは、きっと私が解離性障害の当事者だからなのでしょう。 筆をとると人格が変わるんですよね、それも当事者ブログの醍醐味だと思ってご容赦ください。 多重人格まではいかないけれど、義憤を感じると、文体が勝手に変わる系の解離性障害です。 文体が苦手な方はそっと閉じてくださいね。 江戸時代まで 身分という問題は確…

    はちさんた

    病気が治らない本当の理由 PTSD・双極・パニック・発達障害を克服する

  • 心←技←体という武道、そして漢詩の教えるヒトの本質
    2020/05/11 01:47
    心←技←体という武道、そして漢詩の教えるヒトの本質

    さて、本ブログがいつも ・病気の分析 ・ゆるめる、あたためる、行動を変える 記事を行ったり来たりしている理由を、まだ書いておりませんでした。 日本の「武道」では、禅の影響を受けた武士の影響が強く、 運動(武道)によって技を磨くことで、心を鍛えるということを目標にしています。 武道をやっていた経験のある方はご存知と思います。 部活でなぜあれほど素振りばかりしたのか? の疑問も解けると思います!

    はちさんた

    病気が治らない本当の理由 PTSD・双極・パニック・発達障害を克服する

  • 第28号(1)「人生からの逃避―小説『Il fu Mattia Pascal』」
    2020/05/10 00:17
    第28号(1)「人生からの逃避―小説『Il fu Mattia Pascal』」

     2009年11月20日発行のイタリア語学習メルマガ第28号「人生・現実からの逃避 ―小説・映画・歌の紹介―」に、無効となったリンクを張り替えて文章の関連...

    なおこ

    イタリア写真草子 - Fotoblog da Perugia

  • 短篇小説「桃太郎そのあとに〈童話後日譚〉」
    2020/05/09 13:46
    短篇小説「桃太郎そのあとに〈童話後日譚〉」

    かつてない鬼退治の大成功により、その中心人物である桃太郎の人気は爆発した。 民衆に甚大な被害をもたらしていることを認識していたにもかかわらず、その事実を隠蔽して鬼を放置し続けてきた時の政権はにわかに求心力を失い、鬼に苦しめられてきた人民の誰もが桃太郎政権の誕生を望んだ。それは民衆の自然な心の動きであった。 どこへ行っても街を歩けば行列ができるほどの握手攻めに遭い、その人気にすっかり気を良くした桃太郎は、やがて全国各地で一斉蜂起した民衆らの一揆勢力に担ぎあげられる形で、反政府運動の象徴となった。 各種動物をも戦力としてまとめあげたその無類のカリスマ性により、一般市民は武器の貧弱さをも乗り越える圧…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 『そういうものに わたしはなりたい♥』
    2020/05/09 07:40
    『そういうものに わたしはなりたい♥』

     ~From my Heart to Yours ~~ 心をこめて~   南カリブ海は今日も曇りのち晴れ    今日の物語  今の私達に残されたメッセージの様…

    美知子

    美知子さんの気まぐれ日記♥

  • 短篇小説「豚に真珠そのあとに〈ことわざ後日譚〉」
    2020/05/06 18:26
    短篇小説「豚に真珠そのあとに〈ことわざ後日譚〉」

    豚は戸惑っていた。今朝、飼い主である王様から突然に、真珠の首飾りをかけられたからである。それはとてもキラキラと輝いていたが、残念ながら美味しそうには見えなかった。きっと口には入れないほうがいいだろう。 豚は最初、一部の凶暴な動物たちのように、いよいよ自分にも首輪をつけられたのかと考えた。しかし豚は王様に飼われている他の動物らと比べても、特に素行不良なところはないと自負していたし、なによりその首飾りは、頑丈というよりは繊細と表現すべき代物であるように見えた。豚の足でつけはずしなどしようものなら、一発ですべての真珠が四方八方へと弾け飛んでしまいそうだ。 しかし豚は王様に逆らうことに身の危険を感じて…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • この心地よいゆったり感
    2020/05/06 08:31
    この心地よいゆったり感

      『コーヒーと恋愛』獅子文六(ちくま文庫)  作者獅子文六の小説は2冊目です。前回読んだ『てんやわんや』の読書報告は本ブログにあります。少しそれを読み直してみました。  なるほど、今の私の記憶とほぼ

    analog純文

    近代日本文学史メジャーのマイナー

  • 短篇小説「犬も歩けば棒に当たる」〈ことものわざがたり〉
    2020/05/02 09:34
    短篇小説「犬も歩けば棒に当たる」〈ことものわざがたり〉

    これは紆余曲折を経て、最終的に犬が歩いて棒に当たるまでの話である。 犬が、歩いていた。あるいは、歩いている犬がいた。場所はどこにしようか。とりあえず街中にしてみようか。 犬の前にまず、電柱が現れる。これは棒と言えるだろうか。かなり長くて大きいが、棒とは言えるだろう。犬は後ろ右足を上げて、電柱に小便をひっかけた。 いつもそうしているのだから、これは当たる用の棒ではなく、小便をかける用の棒だ。もちろん犬にとっては、電気を各家庭へ供給するための棒などではない。もしも電柱に当たる犬がいるとしたら、すでに意識が朦朧としているか犬ではないかのどちらかだと思われる。 次に犬の前に現れるのは、道路側からの侵入…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 牡丹華(ぼたんはなさく)
    2020/04/30 20:31
    牡丹華(ぼたんはなさく)

    桜は「散る」、梅は「零れる」、朝顔は「萎む」、菊は「舞う」、多彩な終焉の表現がある中、崩れるとはいかにも王座らしいですねと指が止まりました。穀雨も末候ですね。今日から五日間は牡丹華(ぼたんはなさく)という季節です。

    久利生杏奈

    紅龍堂書店の日々

  • 短篇小説「かつぎ屋」
    2020/04/30 18:31
    短篇小説「かつぎ屋」

    その日の私は、とてもかつぎたい気分だった。舌先三寸で難攻不落の某大手企業を口説き落とさなければならないという、かつてない大仕事が翌日に控えていたからだ。我が社の命運をかけた新商品のプレゼンを、私は任されていた。こんなときは何かしらかつがないことには、とてもやっていられない。誰だってそうだろう。 翌朝のプレゼン準備を完璧に整えた私は、しかしいまだ不安が拭えぬまま、仕事帰りに行きつけのかつぎ屋へと向かった。今日はいったい何をかつがせてくれるのだろうか。適切なものさえかつがせてもらえれば、何がどうなろうと次の日のプレゼンは上手くいくような気がした。逆に何もかつがないままでは、何をやってもうまくいかな…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 霜止出苗(しもやみてなえいずる)
    2020/04/29 16:50
    霜止出苗(しもやみてなえいずる)

    五風十雨(ごふうじゅうう)――五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降る天気のことですが、農業からすれば順調そのもの。今、コロナウイルスで人間社会は激変を強いられていますが、大気は例年以上に穏やかです。そうであれば、できることがあります。作付けです。

    久利生杏奈

    紅龍堂書店の日々

  • 「山月記」李徴の痛々しい自嘲(④)
    2020/04/28 09:32
    「山月記」李徴の痛々しい自嘲(④)

      『山月記・李陵』中島敦(岩波文庫)  「山月記」についての報告の4回目になります。 今回は、虎になった理由「その三」、私がこの度の「勉強」で、一番面白かったところであります。 (1)李徴の説く虎に

    analog純文

    近代日本文学史メジャーのマイナー

  • 短篇小説「逆接さん」
    2020/04/27 18:06
    短篇小説「逆接さん」

    その魅力を語るには、どうしても逆接を用いずして表現できない女、それが「逆接さん」である。 逆接さんは魅力的な女性ではあるが美人ではない。身長は高くないが実際の身長を聞いてみると、それよりはだいぶ高いなと誰もが思う。性格は温厚だが激しい。時に温厚だったり時に激しかったりというのではなく、常時温厚で常時激しいのだからそうとしか言いようがない。梅干しは嫌いだが梅ガムを好んで食べる。 学生時代の逆接さんは、バレーボール部に所属していたがバレーボールが好きではなかった。しかしバレーボールは好きではないが、練習は好きだった。練習が好きなのにもかかわらず、雨で部活が中止になると誰よりも喜んだ。体育館の天井に…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 短篇小説「桃太郎ネガ」
    2020/04/26 01:28
    短篇小説「桃太郎ネガ」

    むかしむかし、ある暗雲たちこめる鬱蒼とした僻地に、中二病のお爺さんと、実年齢よりもはるかに老けて見えるお婆さんがいました。 ある日、お爺さんは自殺の名所として有名な山へ柴刈りに、お婆さんは上流にある工場排水で汚染された川へ洗濯に行きました。 お婆さんが「どういうわけか、洗えば洗うほど、服が汚れていくような気がするねぇ」と思いながら洗濯をしていると、川上から「どんぶらこ、どんぶらこ」と、地獄の釜が煮えたぎるような音をたてて、大きな桃が流れてきました。「あんらまぁ、信じらんねぇくらい大きな桃だけんども、なんだかあちこち黒ずんどるわ。八百屋の店先で、だいぶいろんなお客さんに指で押されたのかねぇ」 お…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 短篇小説「喩え刑事」
    2020/04/23 15:12
    短篇小説「喩え刑事」

    管轄内で立てこもり事件が発生したとの通報を受け、喩え刑事がパトカーで現場へ急行した。五十代の男が、別れた妻とその娘を人質に立てこもっているという。 喩え刑事は、助手席に乗るゆるふわパーマの新米刑事に言うでもなく呟いた。「いま俺たちは、まるで矢のように現場へ向かっているな」 新米刑事は、パトカーの形はそんなに矢のように尖っているわけでもないな、と思ったので何も考えずに生返事で済ませた。しかし喩え刑事は、「だろ?」と満足気な様子でアクセルを踏み込んだ。 二人の刑事は、まもなく住宅街の中心部にある現場に到着した。すでに盾を持った警官隊が、古ぼけた一戸建てをすっかり包囲していた。「ずいぶんと大袈裟だね…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 「山月記」の李徴はなぜ虎に(③)
    2020/04/21 08:41
    「山月記」の李徴はなぜ虎に(③)

      『山月記・李陵』中島敦(岩波文庫)  「山月記」についての報告の3回目になります。 今回は、三つのその理由を考えたいと思います。特に三つめが、この度「勉強」をしていて新しく「はっ」と思ったものであ

    analog純文

    近代日本文学史メジャーのマイナー

  • 短篇小説「人望くん」
    2020/04/18 13:15
    短篇小説「人望くん」

    どこの世界にも、いったいその人がなぜそんなに評価されているのか、その要因がどうにも思いあたらない人物というのがいる。イケメンでも演技派でもない大御所俳優。美人でも巨乳でもないグラビア女王。失言まみれ汚職まみれの大物政治家――。 挙げればキリがないが、考えてみれば小学生のころからそういう奴はいた。私は彼のことを、羨望と揶揄の念を込めて「人望くん」と呼んでいた。 人望くんは、とにかく先生に怒られなかった。私たち男子が休み時間のドッヂボールに夢中になりすぎて、校庭から教室に戻るのが遅れたときもそうだった。担任の中年男性教師は、教室の前扉の前に仁王立ちして僕らを待ち構え、遅れてきた生徒に次々と容赦ない…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 虹始見(にじはじめてあらわる)
    2020/04/17 19:07
    虹始見(にじはじめてあらわる)

    ピリリと山椒が効いたような鋭い洞察を、やわらかな言葉に落とし込むのは優れた詩人の常ですが、こんなに切ない詩も描かれるのですねと、社会人になってから胸を締め付けられたのが、「虹」です。石垣りんさんの詩集『レモンとねずみ』より。

    久利生杏奈

    紅龍堂書店の日々

  • 短篇小説「某気茶屋」
    2020/04/15 19:11
    短篇小説「某気茶屋」

    そう、ここは繁華街にある居酒屋『某気茶屋』。今日も我が店は、あらゆる「気」にあふれている。 その原動力となっているのが、各店員がそれぞれに放っている「気分」である。我が店ではスタッフの個性を重視して、各人の胸の名札に、苗字とともに「その日はどんな気分であるか」を表記している。その日の気分によって、挨拶も必然的に変わる。 ここがもしも『やるき茶屋』であるならば、店員の気分にかかわらず、注文を承った際の挨拶は「はい、よろこんで~!」と相場が決まっている。しかし我が店のモットーは「正直接客」であり、店員の気持ちに嘘をつきたくはない。 店員だって人間である以上、やる気のないときだってあるし、好きでもな…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 偽りの時雨
    2020/04/15 00:14
    偽りの時雨

    ピエ・ブックスさんの『てんきごじてん』、翻訳家のW先輩が下さった、宝物のような本です。眠れない夜によく読んでいます。私が一昨日、助けられた言葉は「偽(いつわり)の時雨」――『続後拾遺和歌集』の藤原定家の歌「偽りのなき世なりけり神無月誰が誠より時雨初けん」に基づく言葉で、意味は……

    久利生杏奈

    紅龍堂書店の日々

  • 短篇小説「い・ら・な・いオートマティック」
    2020/04/13 20:31
    短篇小説「い・ら・な・いオートマティック」

    二十二世紀に入り、この世のあらゆるものが自動になったが、どこを自動化するかは個々人のセンス次第だ。 僕は毎朝八時に目を覚ます。もしも寝ぼけてスマホのアラームを止めてしまったとしても、まったく問題はない。五分後に再びアラームが鳴ったときには、スマホの時刻表示のほうが八時ちょうどに合わせてくれるからである。 もちろん世界の標準時までが僕に合わせてくれるわけではないので遅刻はするが、会社に到着するまで遅刻に気づかなくて済むというのは、無駄なドキドキがなくて良いものだ。 ようやくアラームに反応して目を開けると、その動きに連動して自動的にまつげが立ち上がる。同じく鼻毛も真っすぐに屹立して、僕は戦闘態勢に…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 「山月記」の魅力とは(②)
    2020/04/13 08:31
    「山月記」の魅力とは(②)

      『山月記・李陵』中島敦(岩波文庫)  前回から中島敦「山月記」について、わたくしが少々「勉強」いたしましたことを報告しています。 今回は、教科書に少し寄り道をした後、山月記の魅力について、考えてみ

    analog純文

    近代日本文学史メジャーのマイナー

  • 短篇小説「鶴太郎の恩返し」
    2020/04/09 00:11
    短篇小説「鶴太郎の恩返し」

    むかしむかし、北の国の山奥に、とある老夫婦が住んでいた。ひどく雪の多い冬だった。 ある日、お爺さんはたまの晴れ間を縫うように、森へ柴刈りに行った。森の奥へと歩いてゆくと、さっきからずっと鳥の鳴く声がしていることに気づいた。それは「キューちゃん、キューちゃん」という、なぜか「ちゃんづけ」の、九官鳥のような独特の鳴き声であった。 お爺さんが声の聞こえるほうへ歩みを進めてゆくと、雪の中でもがき苦しんでいる、すこぶる富士額で骨太な鶴の姿が目に入った。鶴はその足を、錆びついた金属製の罠に挟まれて身動きできずにいるのだった。 お爺さんが罠をはずしてやろうと苦戦していると、鶴の周囲に禿げ散らかしたヒヨコの一…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 短篇小説「鶴よ恩返せ」
    2020/04/04 19:12
    短篇小説「鶴よ恩返せ」

    むかしむかし、北の国の山奥に、とある老夫婦が住んでいた。ひどく雪の多い冬だった。 ある日、お爺さんはたまの晴れ間を縫うように、森へエロ本を拾いに出かけた。山道の脇に、よく落ちているのだった。お婆さんには「柴刈りに行く」と嘘をついて出てきた。夫婦関係はすでに冷え切っていた。 深い雪の中を進んでゆくお爺さんのモチベーションは高かった。読み終えたエロ本は、街の古本屋へ持っていけば高値で売れた。そういう時代だったのだ。どういう時代だったんだろう。 しかしここ最近の大雪は、エロ本だけでなく何もかもを埋め尽くしてしまっているように思われた。お爺さんはスコップで雪を掻きわけつつ進んだが、いっこうに獲物は見あ…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 第18号⑵「1 ダンテ『神曲』の冒頭を読む⑵、フェッラゴスト」
    2020/03/30 00:03
    第18号⑵「1 ダンテ『神曲』の冒頭を読む⑵、フェッラゴスト」

     この記事は、イタリア語学習メルマガ 第18号⑴「ダンテ『神曲』の冒頭を読む⑴」(2009年8月14日発行)の続きです。 Cappella di S...

    なおこ

    イタリア写真草子 - Fotoblog da Perugia

  • 第18号⑴「ダンテ『神曲』の冒頭を読む」
    2020/03/30 00:03
    第18号⑴「ダンテ『神曲』の冒頭を読む」

    イタリア語学習メルマガ 第18号「ダンテ『神曲』の冒頭を読む」     2009年8月14日 (バックナンバーを掲載していたサイトが、ヤフージオシティ...

    なおこ

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  • 『こころ』のこのスリリングな読み(後編)
    2020/03/25 21:49
    『こころ』のこのスリリングな読み(後編)

      『男であることの困難』小谷野敦(新曜社)  前回の続きです。 漱石の『こころ』についての評論の内容紹介をしていました。  実は私は、この筆者の『こころ』についての文章は、以前にも別の評論を読んだ事

    analog純文

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  • 短篇小説「某校の卒業式」
    2020/03/23 20:05
    短篇小説「某校の卒業式」

    今日は晴れて我が校の卒業式であった。それはこのたび、晴れて卒業を迎えた私にとって忘れられぬ卒業式となった。忘れるほうが難しい、といったほうが正確かもしれない。 我が校の卒業式は、廃線となったかつての最寄り駅のホームを貸し切りにして行われる。だからといって、鉄道関係の専門学校というわけではない。すでになんの役にも立たない駅が依然として取り壊されず保存されているのは、我が校の卒業式のためであるという説もある。 ホームの端から端まで、パイプ椅子を二列にずらりと並べて卒業生が着席する。それを送る在校生のほうは、ホーム下の両脇を走る線路上から、ホームを見上げる形でのオールスタンディング形式となっており、…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 電子書籍『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』無料配布キャンペーンのお知らせ
    2020/03/11 19:16
    電子書籍『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』無料配布キャンペーンのお知らせ

    このたび、久々に拙著電子書籍の無料配布キャンペーンを開催することにしました。そうです。このたびの新型コロナウイルス絡みで、いろんなところが部屋にこもらざるを得ない子供たちのためにと、無料キャンペーンを行っているのを見て、僕も何かしなければと思ったのです。と言いきりたいところですが、ここには子供たちに向けたお話はひとつも入っていないので、単に世間の流れを受けてKindleにそんなキャンペーン機能があったのを思い出した、というのが正直なところでしょうか。そうなると親御さん世代に読んでほしいところですが、残念ながらPTA受けする内容でもまったくないという事実。この時点で、もうどこへ向けたキャンペーン…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • 新しい小説は入っていきにくい
    2020/03/07 09:32
    新しい小説は入っていきにくい

      『クワイエットルームにようこそ』松尾スズキ(文春文庫)  私には、読書指導のメンターのような方がいます。 いえ、実際、世の中にはちょっと信じがたいような「本読み」は、実はごまんといるようですね。ち

    analog純文

    近代日本文学史メジャーのマイナー

  • 短篇小説「アバウト刑事」
    2020/03/06 23:54
    短篇小説「アバウト刑事」

    トレンチコートのようでトレンチコートでないような、いやコートとすら言えないかもしれないアバウトな上っ張りの襟のような一帯を立て、今日もアバウト刑事が事件の捜査を開始する。具体的にそれがどんな事件かと問われれば答えようがない。なぜならば彼は、アバウト刑事だからだ。 とはいえ仕事は仕事。まずは現場へ急行しなければならないのが刑事の務めだ。しかし現場といっても、どこが現場なのかを特定するのは難しい。もちろんそれは、上司からの指示を彼がアバウトにしか聴いていないからだ。「そんなことでは刑事の仕事は務まらないはずだ!」そんなお叱りの声もあるだろう。だが彼がアバウト刑事として働き続けられているのは、至極ア…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • ベルリンから立ち昇って来るもの
    2020/02/26 11:57
    ベルリンから立ち昇って来るもの

      『百年の散歩』多和田葉子(新潮社)  ドイツのことを何も知りません。 いえ、居直っているわけではありません。我ながら困ったことだなあとは思いつつも、何といいますか、なかなか、えいやっ!と、改めて西

    analog純文

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  • 『モレルの発明』/アドルフォ・ビオイ=カサーレス
    2020/02/21 22:32
    『モレルの発明』/アドルフォ・ビオイ=カサーレス

    モレルの発明 (フィクションの楽しみ)作者:アドルフォ ビオイ=カサーレス出版社/メーカー: 水声社発売日: 2008/10メディア: 単行本ガルシア=マルケス、ボルヘスとともに南米文学を代表するカサーレスの代表作、らしい。「カサーレス」=「傘レス」=「傘がない」=「井上陽水」? いきなりどうでもいい連想だが感触的にはそんなに遠くもない。最後まで読み終えるとそんな気もするカサーレス。個人的には、マルケスには衝撃を受けた作品が多く、ボルヘスにも好きな短編がいくつかある(ピンと来ないものも少なくない)。しかし彼らと並び称されるカサーレスとなると、何を期待したらいいのかいまいちわからず、しばし入口付…

    井上智公

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  • 願いが1つだけ叶う/全部叶う
    2020/02/20 21:54
    願いが1つだけ叶う/全部叶う

    困った時にお願いするのが、「神さま」、「仏さま」、そして「お地蔵さま」です。今回は「お地蔵さま」の話です。 どんな願いでも聞いて下さるお地蔵さまはだめです。どんな願いでも「1つだけ聞いて下さる」お地蔵さまが良いのです。私は「新型コロナウイルスが今すぐ終息

    ひろ

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  • 短篇夢小説「目覚めのチャーハン」
    2020/02/18 20:41
    短篇夢小説「目覚めのチャーハン」

    引っ越したばかりの新居で目を覚ました私は、どうやら自分が床で寝ていたことに気づいた。そんなことはこれまで一度もなかった。引っ越したてなのでまだベッドがないのかもしれなかった。しかし引っ越すとしたら、真っ先に寝床の心配をするのが自分であるように思ってもいた。 上半身だけ起こして周囲を見渡すと、私はそこが思ったより広い部屋であることに驚いた。たしかに私が賃貸契約を結んだのはワンルームであり、そこはたしかにワンルームであることに間違いはないのだが、だだっ広いコンクリート打ちっぱなしのその様子は、明らかに店舗用物件であるように思われた。 私はとりあえず顔を洗って目を覚まそうと洗面所を探したが見当たらず…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

  • スリリングで野心的な長編小説
    2020/02/17 09:40
    スリリングで野心的な長編小説

      『母の遺産――新聞小説・上下』水村美苗(中公文庫)  上下2冊の力作長編小説です。 といっても、この筆者の過去の作品『本格小説』などに比べたら、ほぼ半分の分量です。 この方は、天性の長編小説作家です

    analog純文

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  • 縮めるのが好きな日本人
    2020/02/13 21:42
    縮めるのが好きな日本人

    日本人は、「縮める」のが好きです。小さいものに美を認め、あらゆるものを「縮める」ところに、日本文化の特徴があります。以前「『縮み』志向の日本人」と言う本を読んで感動しました。 さて、孫が「ノーベン」と言うので、全く意味不明、ついていけません。聞いてみると

    ひろ

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  • この「くったく」をどうしようか
    2020/02/10 09:00
    この「くったく」をどうしようか

    ​​​  『山椒魚』井伏鱒二(新潮文庫)  『山椒魚』の冒頭に「山椒魚は悲しんだ。」とあります。  また、この井伏鱒二の初期短編集には12の短編小説が収録されていますが、その多くの作品に「くったく」と

    analog純文

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  • 人生の四季…インドヒンズー教の場合
    2020/02/08 21:57
    人生の四季…インドヒンズー教の場合

    自然に四季があるように、人生にも四季があると言います。四季折々の出来事を前向きに楽しみながら、心おきなく人生を卒業して行きたいものです。 四季の考え方はいろいろですが、インドのヒンズー教では、人間の一生を「学生期(がくしょうき)」「家住期(かじゅうき)」「林

    ひろ

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  • 不条理は 我慢くらべだ 人生だ
    2020/02/07 20:37
    不条理は 我慢くらべだ 人生だ

    私は「理系」です。だから、私が文学少年だったと言うと、家族が笑います。でも、中学生の時、夏目漱石「坊ちゃん」の感想文が日立市の文芸集に掲載され、高校生のときのクラブ活動は「文学部」でした。本を読むのも、文章を書くのも好きでした。そのような訳で、アルベール

    ひろ

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  • 書かずに書かずに書く
    2020/02/03 09:42
    書かずに書かずに書く

      『影裏』沼田真佑(文春文庫)  3つの小説が収録されていますが、1つ目の小説「影裏」が芥川賞受賞作です。  冒頭から続く森の描写、これがびっくりするくらいよかったです。 明晰で透明感があって、何だ

    analog純文

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  • 短篇小説「絵馬神の憂鬱」
    2020/01/30 22:20
    短篇小説「絵馬神の憂鬱」

    絵馬専門の神を「絵馬神」という。絵馬というのはもちろん、願い事を書いて吊るす五角形のアレである。近ごろは神様の仕事も分業化が進んでおり、絵馬神は絵馬に書かれた願いごとを叶えること以外やってはいけないことになっている。いわゆる働き方改革というやつであり、おかげで残業が減ってプライベートが充実した。 とはいえ、人間というのは書けばなんでも叶うと思っているようで、神社には大量の絵馬が毎日のように追加されてゆくから、絵馬神は絵馬しか見ていないとはいえ全然暇ではない。 ただでさえ時間のない絵馬神、本来ならば、すべての願いを比較検討したうえで、叶えるべき優先順位をつけてから実力を行使してゆくべきところだが…

    井上智公

    泣きながら一気に書きました

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