【感想】『黙示録3174年』ウォルター・ミラー【ヒューゴー賞 1960年】
ウォルター・ミラーの1961年ヒューゴー賞受賞作『黙示録3174年』の、感想です。 1960年のヒューゴー賞受賞作品には、この「黙示録3174年」にも「ヴィーナス・プラスX」という作品があります。どちらも冷戦下での核戦争の恐怖を濃厚に反映した物語となっています。この時代のムードだったのでしょうか。 「黙示録3174年」では、最初の核戦争で完全に失われた文明が1,200年もかけて復興する歴史と、復興した文明が結局再び核戦争に突入していく様、核攻撃を受けた町の凄惨な被害が大変なリアリティを持って記述されます。 この作品の異色な点は、3174年の最終戦争が北米大国とアジアの覇権国家の戦争として描かれ…