『破果』ク・ビョンモ|強烈なインパクトを残す韓国発信文化
『破果』ク・ビョンモ 小山内園子/訳 岩波書店 2023.4.29読了 なかなか圧倒される文体である。一文もやや長めで、ひとつひとつの描写がとんでもなく細かく、豊富な比喩表現が多用されている。他人を見る観察眼が鋭い。著者のク・ビョンモさんは、文章に関して「読みやすくしないこと」を決めているという。 殺し屋を営む爪角(チョガク)は、65歳にして現役。しかし年齢からくる衰えを感じている。身体的な部分だけではなく精神的にも「老い」を感じる彼女は、自身の仕事にどう向き合っていくか、そして生き様をどう決着づけようとしているのか。 タイトルの『破果』は、韓国語で「傷んでしまった果実」と「女性の年齢の16歳…