『紫忠兵衛』 山手樹一郎
紫忠兵衛:山手樹一郎 1954年(昭29)豊文社刊。 1956年(昭31)同人社刊、昭和名作選書。 1958年(昭33)8月~1959年(昭34)1月、雑誌「小説倶楽部」連載。 これは雑誌「小説倶楽部」の連載で見つけて読んだのだが、時系列で見ると単行本としてはその4年前にすでに出ていたものだった。書き下ろしでなければ、初出は別の所であり、ここでは珍しい「再連載」ということになる。 紫忠兵衛:山手樹一郎、木俣清史・画 山手樹一郎の安心感のある長編の一つ。不本意ながら人を殺めて脱藩した紀州浪人紫忠兵衛は、初めて生き馬の目を抜くという江戸にやって来る。田舎育ちの飄々とした人好きのする人物像はよく描か…
2025/05/16 18:34