【書評】宮部みゆき「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」-圧巻の表題作!神隠しにあった5人の老若男女の運命は?
宮部みゆき「黒武御神火御殿」 「三島屋変調百物語」シリーズの6巻目。三島屋の「黒白の間」で不思議な物語を聞く、その聞き手が今回、主人の姪で心に傷を持つおちかから三島屋次男の富次郎へと代わった。この交代は作者としてはかなり勇気がいるところ。富次郎がどんな聞き手になるのかが気になる。 全4話だが、なんといっても全体の半分以上を占める表題作が圧巻の出来。内容的にもおもしろい。三島屋と取引のある質屋の二葉屋、そこで働く女中のお秋からぜひ見て欲しいと一着の印半天が届く。その謎を解き明かしているうちに、次の語り手がやって来る。男は髪は真っ白で火傷の跡が目立つ四十路の男・梅屋甚三郎。彼の話はどうやら印半天と…