じんかん 今村翔吾
戦国時代の梟雄といえば、まずこの松永弾正久秀が思い浮かぶ。併し巷で松永弾正久秀を知っているかと問えばどうだろうか、10人に一人知っているだろうか。戦国武将の知名度でいえばCクラスというところではなかろうか。故にこれまで、松永久秀として1冊の本で取り上げられたものを見たことがない。それだけに本書の出現は私にとって遅きに失した。久秀は、天下取りの争いに加わったわけでもないが、三悪事=「主家乗っ取り」「将軍弑逆」「大仏殿焼き討ち」の主としてはよく知られている。本書を手に取る前はとうぜん、戦国武将たる松永弾正久秀から始まると思っていたが、ある日、天守で休んでいる信長の下に家臣が、久秀謀反の報が入り、そ…