独り身たるの罪深さ ―共和国家の「独身税」―
吉江喬松(たかまつ)。 早稲田大学に教鞭を執る仁である。 留学から帰ったばかりのこの人が、面白いことを言っていた。大正九年の秋に於いての御講義だ。 (Wikipediaより、昭和初頭の早稲田大学) テーマはズバリ、「フランスの人口政策について」。 その身を以って実際に見聞した四方山(よもやま)を論じてくれた次第(ワケ)だった。 「フランスの人口問題は漸く解決され掛って居ます。一時死亡率が出産率を越えましたが今は反対になりました。之は国民的な自覚と一方には政府の政策が行はれたので、即ち今年五月頃から三十歳以上の男子の独身者に独身税を課すると同時に、三人以上の子を持つ夫婦は多人数の家族として保護を…
2024/05/03 17:11