短篇小説「品書きのエモい料理店」
誰もがグルメグルメとほざく昨今、私はいよいよ通常の美味いだけの料理では飽き足らなくなってしまった。料理とは、ただ物理的に美味いだけで良いのだろうか。演奏の上手いだけの音楽が味気ないように、美味いだけの料理というのもまた、文字どおり味気ないものだ。 私は心を揺さぶるエモーショナルな音楽が好きだ。ならば同じく感情に訴えかける、エモい料理というものがどこかにあるのではないか。そんな疑問を持ちはじめた矢先のことだった。近所に新しい料理店がオープンするというチラシが、ポストに投げ込まれていたのは。 私はオープン初日の開店時間に合わせて、その店を訪れた。なぜならばそのチラシには、「あなたの心に、届けたい料…