本家より面白い!? | 『完訳カンタベリー物語(上)』著:チョーサー、訳:桝井迪夫
昨年ボッカチオ『デカメロン』を読了し、中世文学に興味を持ちました。そして本『カンタベリー物語』は『デカメロン』を下地にしていると聞き、読んでみた次第です。 文庫本で3冊にわたる本作、上巻を読了した時点の感想は、本家デカメロンよりも読みやすい、と感じました。 本家は10人が1日1話、10日間話を披露するというものでしたが、本作はひとり1話のようです。で、セッティングはまあデカメロンと類似の形式で、ある宿屋で一緒になった身分も職業も違うものがカンタベリー寺院へ共に巡礼に出向く道すがらにそれぞれが語るというものです。 本上巻では序章と5つの話(騎士の話、粉屋の話、家扶(wikiでは親分と訳されていま…