読書感想:『夜の道標』
―優しく、思いやりがあって、けれど自分が想像できる範囲内で思いやることの乱暴さに気づくほどには優しくない。 本当に相手を思いやっているわけではなく、相手を思いやる自分でいるために言葉を投げるから、投げかけた先のことは想像していない。(P.89) 今回読んだ小説は、読了後、胸が締め付けられるような小説でした。 今回紹介する小説は、芦沢央氏著 『夜の道標』 です。 夜の道標 (中公文庫) 作者:芦沢央 中央公論新社 Amazon 1996年、横浜市内の個人塾で、塾の経営者が何者かによって殺害されました。 被疑者と思われる元教え子は、2年経過してもその足取りを掴めないでいる。 殺人犯を匿う女性、窓際…