【本】中村 文則『世界の果て』~仄昏い夜を彷徨い、やがて果てに辿り着く~

【本】中村 文則『世界の果て』~仄昏い夜を彷徨い、やがて果てに辿り着く~

1、作品の概要 中村文則の7作目の単行本にして、初めての短編集。 5作の短編からなる。 『世界の果て』は5編からなる、連作短編になっている。 2、あらすじ 1、月の下の子供 親に捨てられて、施設で育った「僕」は幽霊の存在を感じながら育つ。 異常な性欲を感じながら女性と交わるが、彼の存在の偏りに彼女たちは離れていってしまう。 火に異常な執着をみせて美しい火が何かを焼き尽くしていく姿を夢想する。 不動産の仕事に就いた「僕」は、異常な家族が焼け死んだ曰くつきの物件に巡り合う。 彼らが残した暗い情念の虜になり、さらに精神の均衡を失っていく。 2、ゴミ屋敷 妻を亡くした男が突然眠り続けて昏睡状態になって…