書評『穴』/小山田浩子
穴 (新潮文庫)作者:浩子, 小山田発売日: 2016/07/28メディア: 文庫「穴」というモチーフには、なぜだか常にワクワク感がある。だからカフカも安部公房も村上春樹も穴を使う。ということはつまりカフカが使ったからか。影響関係を考えると。その題材の強さのおかげで面白さの最低ラインが保証されると考えるか、逆にハードルが上がると考えるかは読み手次第だが。芥川賞受賞作。物語は田舎に越してきた主婦の日常からはじまる。これが本当に日常なのだ。日常というのは当然のごとくリアルだが、そのぶん退屈も伴う。丁寧に描き出される日常の連続に、個人的には挫折しそうになった。しかし日常というのは、現実とフィクション…